パラノイア境界線


301号室のカギ穴に男はキーホルダーのついたカギを差し込んでまわす。

「どうぞ」

暗い玄関に電気がつけて男は中にはいっていった。あたしは恐る恐る中へ進んでいく。

ワンルームの小さな部屋。それもソファとテレビとテーブルとCDと小さな冷蔵庫が無造作に置かれてあるだけのとても簡素な部屋だった。


「ごめん汚くて」

照れ笑いしながらそこらに転がった衣類をかき集めて端に寄せる。

「つっかれたー」

男はギターケースを肩から降ろして白いソファーにドサッと座った。

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