パラノイア境界線
すると昴の方から寝息が聞こえてきた。
そうとう疲れていたのか、昴は体を小さく上下させて座りながら寝てしまった。
まるで子供だ。
不思議な、とても不思議なヤツ。
きっと町を歩いていると他の男とはそう変わらないのに、あのホームでの一件で昴はあたしの人生に触れてしまった。
だけど別に期待なんかしてない。
"もしかして彼があたしの救世主かもしれない"
なんて馬鹿みたいなこと思わないし。
あたしはそんな乙女じゃない。