パラノイア境界線


すると昴の方から寝息が聞こえてきた。
そうとう疲れていたのか、昴は体を小さく上下させて座りながら寝てしまった。

まるで子供だ。

不思議な、とても不思議なヤツ。
きっと町を歩いていると他の男とはそう変わらないのに、あのホームでの一件で昴はあたしの人生に触れてしまった。


だけど別に期待なんかしてない。

"もしかして彼があたしの救世主かもしれない"

なんて馬鹿みたいなこと思わないし。

あたしはそんな乙女じゃない。

< 31 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop