パラノイア境界線


ママは言った。
昔、言った。

『ユウのこと大好きよ』

体が大きく成長するたびに、押し入れの中は窮屈になっていく。

膨らむ胸が怖かった。

しなやかに伸びる四肢が悍ましかった。


いつか、獲物になっていく此の体が呪わしかった。


魂だけの姿になって静かな森でゆっくり過ごしたい。
そんな風にいつも望んでいたの。


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