パラノイア境界線
「……ウ…ユウ……」
眩しい光の中で誰かがあたしの名前を呼んでいる。
誰なんだろう?
誰があたしの名前を呼んでいるんだろう?
視界がぼんやりしていて顔が見えない。
「ユウ……ユウ…」
心地よい声が耳をくすぐる。
甘く優しい響き。
自分の名前をこんなに柔らかなものに感じたのは始めてた。
あたし、ママの羊水に還ってきたのかな?
「ユウ起きて」
気がついて、ハッと目を開けると目の前に昴の顔があった。