パラノイア境界線

妙に上擦った猫撫で声の母親に苛々する。
何かを隠しているのが、すぐに分かる。
違うでしょ?ママ。
本当は朝までずっと気兼ねなくあの男と一緒にいたいだけでしょう?

理解ある母親面やめてよ。

「ありがと。じゃあね」

乱暴に通話を切って、料金表示されたケータイを握りしめる。

昴が心配そうにあたしの顔色を伺っているのが分かった。


あたしはママみたいにならない。絶対に。


< 37 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop