パラノイア境界線
目玉焼きとサラダとトーストがテーブルの上に行儀よく並べられていく。
マーガリンが溶けていく甘い匂いが鼻に広がると、あたしは少しだけ優しい気持ちになれた。
「ユウ、カーテン開けて」
コップを取り出したり、冷蔵庫から牛乳を取り出したりドレッシングをテーブルに置いたり、忙しそうにしてる昴の背中をぼんやり見ていたあたしは黙ってソファーから立ち上がる。
「わかった」
水色の淡いカーテンからは、すでにうっすらと光が漏れている。
まるで早くこの部屋に入りたいみたいに。
隙間からは優しい光が差し込んで、フローリングに一筋の道を作っている。