少年と俺
第1章 出逢い
ある冬の日・・・。


上司に連れて行かれた飲み屋の帰り、酔ってはいたが、まだ飲み足らず、家の近くの居酒屋へと寄った。


ガラガラ~っと昔ながらの戸を開けると、カウンターだけの小さな店。


「いらっしゃいッ!」


威勢のいいオヤジの声。


今日はいつもより混んでいる様子だ。


俺は入口から一番近い空いている椅子に座った。


「つぅ坊、いつものウィスキーでいいのか?」


慌ただしく、オヤジが言う。


つぅ坊とは俺のことだ。


松下 都筑(つづき)32歳、高校教師をしている。


「うん。ウィスキーロックで。」


「あいよッ」


ポンッとロックグラスをカウンターに置いた。


フゥっと鼻からため息をつくと、一口舐める様にグラスに口をつけた。


今日の飲みも疲れたなぁ・・・。


32歳と言っても、高校教師の中では新人もいいとこだ。


まだまだ、右も左も分からない。


けれど、今年の春から、初めて2年生の担任をまかされたのだ。









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