少年と俺
最初の飲み会では、上司から、こうしたほうがいい、だの、あぁしたほうがいい、だのグチグチと聞かされていた。


俺はただ、ニコニコと笑って頷いているだけだった。


だから!!


だからこそ、ゆっくりと一人で飲みなおそうと、いつもの居酒屋に立ち寄ったのだ。


「つぅ坊、焼き鳥食べるか?」


そう聞くと同時に、俺の前にはすでに5本の焼き鳥を置いていた。


セカセカとしたオヤジだ。


けれど、俺はこの、威勢がよくて、セカセカとした、オヤジが好きでこの居酒屋によく寄る。


・・・


カチッカチッとライターの音が隣から聞こえた。


オイルが少なく、火が着かないよう様子だ。


「火・・・ありますよ。」


俺は隣に座ってる女に自分のライターを手渡した。


「ありがとうございます。」


優しい笑顔で女は、ほほ笑んだ。


一瞬ドキっとした。


あまりにも整った顔立をしていたから・・・。


女は煙草に火を点けるとテーブル越しにライターを返してきた。






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