† of Holly~聖の契約
「それはお前の答え次第だと、言ったはずだ」

「……」

「が、そうだな……俺はお前を憐れんでおる。ゆえに答えよう。姉巫女はこの村の正常によって死を求められ、あの者の正常によって選び、理の異常と義の正常によって、死んだ」

「……なんと、異常な……」

小さな笑いが聞こえた。それはあまりにも……あまりにも暗く、湿っていた。

「異常であることが正常であると言うところで、わからぬだろうな」

「?」

「正常と異常とは、場所によって変わる。個人によって変わる。ならば、その時々によって変わることも然り。姉巫女はこの村にとって異常であり、選択として正常であった。が、それはお前にとって異常であった」

それでは……それでは、なにもかもが暗転、動転、反転、変転してしまう。

なにが異常であり、なに正常であるのか。

それは、なにを境界となすかによって変幻する。

しかし。

私が望むのは姉上が望む姉上本人の意思確認と、理不尽な『異常』への復讐のみだ。

「お願いがございます」

「……なんだ」

私の声はやはり、二、三度、反響した。
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