† of Holly~聖の契約
鬼が巣食っている土地。

ゆえに姉上はここに束縛されたのだと思った。

ならば鬼を祓ってしまえばすべてが解決するのでは。

そうでは……ないのか。

「妹巫女や、話をしてやろう」

「姉上の?」

「いや、この村についてだ。あるいは昨夜の続きやもしれん」

特別聞きたいと思わなかったが、だからといって拒絶もしなかった私は、異常だったろうか。

首をあげるだけの力しか残っていない私は、仰向けのままぼんやりと彼を見ていた。

背中に当たる床の苔が、冷たかった。

「異常とは本来、正常がなんたるかによって異なる。そこでだ、異常と定義された者が、己が異常であることを拒絶せず、否定せず、異常なままであるとしたら……

それは異常としては正常ではあるまいか」

「……ややこしゅうございます」

「そう思えるだけであって、本来は簡単なことだ」

くるりと彼が振り返る。

おかしいと思った。

彼の目が、三つあるように見える。

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