† of Holly~聖の契約
「貴方は――」

「明日、俺は西へ行く」

突然、話の矛先を変えられた。

「一昨日は来たに行った。昨日は南だ。明日は西へ行き、明後日は東へ行くつもりだ」

「……そうして、どうなさるおつもりですか」

この土地の四方には、なにかがいる。恐らく、彼が言った鬼であろう。

ならば、少なくとも、鬼へ逢いに行こうと言っているのはわかる。

が、

「貴方は、鬼と通じておられるのですか?」

いったい、なにを目的として。

鬼に出逢い無事でいるということは、つまりなにを意味する。

六条殿は鬼を倒したのか。いや、彼は私にそれを否定させた。

ならば御したのか。それも、どうだろう。

となれば、鬼の仲間なのか。

いやしかし、彼が鬼などと、なにを根拠に……。

六条殿は、鬼と、なにを。

「問答に問答で返すは義に反するだろうが」

と、彼は以前と同じように言ってきた。

「お前、俺がこの村を葬らんとしている……と言うたら、どうする?」

「……」
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