† of Holly~聖の契約
鬼を寄せつけぬ効力がこの土地にあるのならば、なぜ、姉上はわざわざ身を捧げたのだろうか。
その身を賭さずとも、この地が鬼を祓うのであらば、姉上の犠牲は不必要だったはず。
「正確には、鬼はこの地に踏み込めぬわけではない。ただ、恐れておるのだ」
「恐れている? 鬼が?」
「ああ。この王城の地を鬼は虎視眈々と狙っておる。が、この地に居を構えるほどの覚悟は、鬼であろうとやれそうそう決められるものではない。しかし、この地を見す見す諦めることもできん。葛藤しておるのだ」
「……わかりました」
姉上に倣った思考のおかげか、状勢がいくらか把握できた。
「すなわちこの地は、鬼らにとって特別な場所――神殿なのですね」
それほどの場所となれば、いくら鬼であろうと容易には踏み込みはしまい。
不用意に足を入れ、土地の力に己の存在事態を壊死させられては元も子もないだろう。
しかし、かといってむざむざこの地をほかの人外に明け渡すなどもったいない。
ゆえに、その周囲に構え、自分の器が見合う時を待っているのだ。
つまりそれだけ、この地を囲う四つの気配は、選りすぐられた人外ということとなろう。
その身を賭さずとも、この地が鬼を祓うのであらば、姉上の犠牲は不必要だったはず。
「正確には、鬼はこの地に踏み込めぬわけではない。ただ、恐れておるのだ」
「恐れている? 鬼が?」
「ああ。この王城の地を鬼は虎視眈々と狙っておる。が、この地に居を構えるほどの覚悟は、鬼であろうとやれそうそう決められるものではない。しかし、この地を見す見す諦めることもできん。葛藤しておるのだ」
「……わかりました」
姉上に倣った思考のおかげか、状勢がいくらか把握できた。
「すなわちこの地は、鬼らにとって特別な場所――神殿なのですね」
それほどの場所となれば、いくら鬼であろうと容易には踏み込みはしまい。
不用意に足を入れ、土地の力に己の存在事態を壊死させられては元も子もないだろう。
しかし、かといってむざむざこの地をほかの人外に明け渡すなどもったいない。
ゆえに、その周囲に構え、自分の器が見合う時を待っているのだ。
つまりそれだけ、この地を囲う四つの気配は、選りすぐられた人外ということとなろう。