† of Holly~聖の契約
「闇の中でさえ沈まぬ、押しの強い藍にございます」

「ふむ。俺の好きな色だ。青や藍など、特にな」

「似合っておいでです」

「褒めても大したものは出ぬぞ」

別に、そのようなつもりで言ったのではないが……。

「もしも、これでなにかをお願いできるのでしたら」

「なにか要るのか」

「はい。わたくしの錫杖と鈴を」

途端、笑われた。彼が腰を折り、腹を抱えているのがわかる。

彼は私に背を向けた。

「そこで服と言わぬところがさすが、あの強情な巫女の妹と言えよう。体裁より信条を貫くか。……わかった。錫杖と鈴だな。持ってきてやろう」

私の復讐がその簡単なことにかかっている。

「必ず?」

と念押しせずにはいられない。

「言うたことは守る。それくらいしか取り柄がないのだ、俺は」

「ご謙遜を」

少なくとも、私を手玉に取るだけの度量はあるだろうに。

そうしてへりくだり自らを抑えてはいるが、実際のところ六条殿ひとりでもこの村を滅ぼせるのではないか……

そんな予測がある。
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