† of Holly~聖の契約




異常とはなんだ。そう、正常ではないことだ。

ならば、正常とはなんだ。

その正常を顕示するものさしは、果たしてどこにある。

なにを軸とする。

なにを核とする。

明確ではない。

明確ではないのならば、その仮定要素を†と名付け、私自らが正常たるものさしとなろう。

私は正しい。

腐り淀んだ煤まみれの村を滅ぼし、姉上を解放し、私自信も自由を得、そして――

そして……

どうしようか。構うものか。私が正常として正常を果たせば、時はいくらでもあるのだ。

私は正しい。

だから腐り淀んだ煤を祓ってしまうのだ。

姉上は言っていた。

腐り淀んだ煤を祓うのが、聖音法術であると。

聖音法術を御することこそが、煤祓いの本文であると。

ならばそう、私は私の正常なる†のままに、この腐り淀んだ土地を祓ってしまおう。

懺悔は認めない。容赦はしない。慈悲も与えない。

< 40 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop