ダストリコリズ

『おめでとうニキ！』
『やったよお姉ちゃん！！』

一年掛かって映画を撮り、その映画が公開された後は仕事が夢のように、沢山入ってきた。
雑誌のモデル、CM出演、ドラマ、舞台・・・。アイドルを夢みていた頃が嘘のように。

当然、楽しいだけではなく、苦しい事、我慢出来ない事も沢山ある。決まってそんな時は、姉に弱音を吐露しては慰めて貰っていた。
リヤはニキのマネージャーとなり、妹を支える柱となっていたのである。ニキも姉がいると思えば、何でもやっていけると思っていた────。


しかし、とある映画の共演として関わった一人の男が、姉妹に波を立てる事となるのは、まだ二人は知らない。



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その男は、真白愁(ましら・しゅう)といった。28歳。若いが、6歳からモデルやらドラマ出演をこなしている俳優であった。人気も安定しているし、数字も取れる男だ。
濁りのない黒髪は思わず触れたくなるし、意志が強そうな切れ目。
しかし性格はよくないらしく、無愛想、自己中という言葉は彼の為にある。友達もそんなに作っておらず、話し掛けずらい・・・というのが業界に知れ渡っている彼の話である。シュウが何故そんな男なのかは誰も知らないが・・・。