ダストリコリズ
知らなかった、では済まされない───。枕営業というものに分類されたそれ。淡々と話すシュウに思えたが、何となく楽しそうに見えた。
「・・・それでなんだけど。」
「・・・。」

「はっきり言って、僕は君の姉に惚れた。」

「!?」
「これから僕に映画やドラマ・・・相手役が必要になる仕事では、君を指名してあげる。それが出来なくても、それとなく仕事を回してあげるよ。・・・だから・・・解るよね?」
解る。これは、姉を差し出せと言っている。
いけないと理解しているのに、ダメだという言葉がすぐに出てこなかった。
人気俳優との仕事・・・。根回し・・・。芸能人として、安泰の日々を送れるかもしれない誘惑に、ニキは押されそうに・・・いや、押されていた。
「僕はいいんだよ、別に。君に言わなくても、君の姉に取り入ってくから。でも、君が協力してくれると助かるんだよ。色々とね。どうかな?これ、悪い話かな?」

ニキは、負けた。
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