ダストリコリズ
***



それからのニキの生活は、輝かしい、と言っても過言ではなかった。
仕事が途絶えず、寝る時間も惜しむ程入ってくる。楽しくて、楽しくて、仕方が無かった。

──だがそれも、恥ずかしい勘違いだと気付くのだ。

ニキを見ない日はないと言われても、人気が比例するわけではない。テレビCMでニキを見ても、スポンサーの商品を買おうという人も、ニキが出演している映画を見ようという人も、あまりいなかったのである。数字にはっきりと表された頃には・・・ニキの精神は追い詰められていた。

「ニキ、次の仕事だけど。」
「嫌!!もう嫌!帰りたい・・・。」

雑誌やインターネットに流れる、自分の評価。誰も自分を必要としていないように思えてきて、心が削られてゆく。
心を許していた筈の姉にも、八つ当たりも少なくなくなってきた。

リヤは、シュウと交際を始めたらしい。あの男の事だ、女性の扱いなど慣れているのだろう。
ニキの仕事が終わった後、リヤは申し訳なさそうに家を出て、シュウと会う。次の日のニキの仕事が始まるまでには必ず戻ってくるが、リヤの何も知らず、知らされずの顔が憎ましく感じてきてしまうのだ。
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