本当の自分
沙依のその言葉に、昔の私は固まる。

「さらって、いつもいつも
 さえのあとをついてくるの」
「そうだね、たしかに」

じわじわと涙が溜まる昔の私。
泣き出すかなと思ったとき。
昔の私は、いきなり走り出す。
私と昴もついていく。
昔の私は遊具の陰に佇んだ。

「さえはともだちだったのに」

そう呟く昔の私の瞳に。
光は無くて。
表情も消えていた。




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