本当の自分
「君は今日死んだよ」

死んだ?私は今ここにいるのに。
何を言ってるんだろう。

そう思っていても、私の頬をつたうもの。
溢れて溢れてとまらない。

「ごめんね。死んだっていうのは、そういう意味じゃなくて。
 うーん・・・。今日、食事が置かれなくなったよね」

確認する男に私はうなずく。
何を言いたいんだろう。

「君という存在が、皆のココロから消えた。
 君のことを覚えている人はいない」

残酷な言葉が胸に突き刺さる。
私はだれからもいらない存在。
決定打を下された、そんな気がした。

「そんな君みたいな人のことを、僕たちは、
 『死んでいる』というんだ。
 身体ではなく、精神の命が」

軽く、空を仰いだ男は目を細め続ける。

「そんな君に救済措置が施されることになった。
 僕は君の担当になった、昴だよ」

昴はそう言ってにこりと笑う。
昴は自分のことを普通の人ではないかのように言う。
人間ではないかのように。

 
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