本当の自分
昴は目を閉じて手を頭に添えた。
昴がその格好をした途端、
何か、心地よいものが昴のほうへ
引き寄せられた気がした。

「保育園の名前は!?」

いきなり聞かれたので、少し戸惑った後、
慌てて念じた。

しばらくすると、昴の目の前に輝く光の渦ができていた。
昴は全身の力を抜いて、その場に座り込んだ。

「その渦は、君の保育園時代へつながってるよ」

・・・保育園じゃなくて、昴は『保育園時代』と言った。

「あぁ、言ってなかったね。
 僕、時間と空間操れるから、よろしく」

今更ながら、にっこりしながら言われても、困ると思う。
でも、時間と空間って・・・。ありえない。

「世の中に、ありえないものって決め付けることをするのは、人間だけだよ」

さりげに、自分は人間じゃないと言っているようなものだ。
この渦は、なんなのだろう。
そして、あの心地よいものはなんだったんだろう。

「それは、あとで教えてあげるから。
 とりあえず、行くの?行かないの?」

行っても、損にはならないと思うけど。
何があるのか正直恐かったりもする。
でも。
・・・行く。
そう念じると、昴は微笑んだ。
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