宝 物
「あ…あの」

食堂でいつものように食事を
とっていると
見るからに弱そうな男が話しかけてきた。

「何?」

とりあえず笑ってあげる。

「僕とお付き合いしてください」

その男が言った瞬間食堂にいた
生徒のほとんどが私の方を見た。

最悪 まじ 恥ずかしいじゃん

私はしばらく黙り込んでジュースを飲んだ
そして空になったジュースをゴミ箱に
捨て

頭を下げている男の横を素通りした。

ドン

誰かが私の肩を掴んだ。

「何よ」

振り返ると見覚えのある男が少し怒った
顔で私を見ていた。



桜山 拓
確か隣のクラスの少し喧嘩っ早い
男だったっけ。

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