【短・ホラー】304号室
『子』
"私の子………"
思わず呟いた母親の言葉を、男は聞き逃さなかった。
"本当か"
母親は、ハッとし、怯えて男を見た。
"大丈夫。
俺はバラさねぇよ
こんな珍しいもん見せてくれるんなら"
男は、自分の懐の中から何かを取り出した。
"これを"
その茶色い封筒には
大量の金
"ここに このガキを置いてくれるなら
俺は周りにバラさないし
これをやるよ"
母親は、自分の手の中にある茶色い分厚い封筒を
離す事が出来ず
引
き
つ
っ
た
笑
顔
で
静
か
に
頷
い
た