【短】さよならは言わない




「そんなに嫌?」


「え?何が?」


「俺と…カップルに見られるの…」


「え?」


滅相もない!嬉しい!嬉しいけど…
聖夜君に迷惑だと思ったから…


「私は…全然…嫌じゃないよ?むしろ…」


「むしろ?」


「むしろ…」


待て待て待てぇー!
ここで"むしろ嬉しかった"なんて言ったら告白も当然じゃん!

言えない!言えるわけがない!


「秘密///」


「チェッ…ま、いっか。
あ。食べ終わった?」


「あ、う、うん。」


ここのケーキは1個30円…。ヤッパリ小さかった。三口サイズ!

ま、それは置いておいて…

∥会計∥


えっと…確かケーキ30円…ジュース180円…だから210円用意すればいいのか。


「お二人で460円になります!」


すると、聖夜君が全部出してしまった。


「あの!お金!」


「いいよ。さっきのお詫び。それに俺の家柄は知ってるだろ?
此くらい平気だよ。」


いいのかなぁ?


「ごめんね?」


「んー。こんなときはごめんねじゃなくてさ、もっと
相応しい言葉があるじゃない?」


え?相応しい?
あ…そうだね。


「聖夜君。ありがとう!」


「どういたしまして。
じゃ、そろそろ帰ろうか?」


そっか…寂しいな…
でも…今日は大分聖夜君に近づけたよね?
それだけでも嬉しいよ…


「うん。」



∥帰り道∥


「……七海チャン…」


「ん?何?」


「実は、俺たちあの日が初めてじゃないんだよ?
会ったの。」


え?


「七海チャンは覚えてないかな?―――」





< 12 / 25 >

この作品をシェア

pagetop