Killing Heart
「ちっ、外れちゃった。阿修羅は素早いなぁ~」
火の嵐から現れたのは、幼い少年の声。
右手に握られる長刀、あれは氷麟とよく似た形。
顔から体は朱色の着物で隠されていた。
今分かることは、間違いなく敵だ。
刃先から漂う炎がそう語っている。
私は阿修羅から離れ、迷わず釈杖を構えた。
「君‥ふ~ん、そうなんだ」
「水城!そこをどけ!!」
少年は私を金色の瞳で見つめた。
何を言っているのか分からない。
私は少年の金色の瞳に震えだした。
阿修羅の言うとおりにしたいのに、体が動かない。
次第に立っているのが困難になり、腰が抜けてしまった。
長刀の刃先が私に襲いかかろうとした瞬間、
キィン、
「‥お前の相手は俺だぜ?」
「阿修羅、僕と戦ってくれるんだね!!」
阿修羅は氷麟を抜いて私を庇った。
さっきより殺気が強く増している。
すると、少年の体に掛かっていた布が地面に落ちた。
若い、、私より若い少年が刀を振り回していた。
私は慌てて立ち上がり、阿修羅を見守った。
「この日をずっと夢見てたよ、阿修羅!!」
少年は両手で柄を握り締めて、刃先に炎を集中させた。
色は赤から青へ変わっていく。