Killing Heart
ふと、阿修羅を見ると、刀を振る度に彼は笑っていた。
なんて楽しそうなの。
人を斬る、戦いだと言うのに‥
「あ~もう!やめやめ!!僕の負けだよ、阿修羅」
すると、少年は炎を振り消して郷炎を地面に突き刺した。
これってどうゆうこと?
阿修羅はフッと笑い氷麟を鞘に収める。
「やっぱお前は変わんないな、草兎」
「そう?久しぶり、阿修羅」
阿修羅は少年を草兎(ソウト)と呼んだ。
私は状況を把握出来ず、突っ立ているだけ。
とりあえず知り合い、だと言うことは確定した。
「阿修羅、この子‥?」
「あ、僕は阿修羅の昔の仲間の、春日 草兎と申します」
「草兎くん、私は水城 夕露よ」
草兎くんはさっきの戦いと別人のように明るい笑みを浮かべた。
なんだかホッとした。
阿修羅に昔、仲間が居たなんて。
私は全く彼の事が分からない。
ただ鬼だと言うことしか‥
草兎くんは郷炎をスッと鞘に収め、布を拾う。
阿修羅はまた歩き始めた。
「ねぇ、草兎くんも旅に一緒に来てくれるの?」
「あいつは実力もある。一緒に居て損はないぜ」
私は阿修羅が自然と笑っているところを始めてみた。
草兎くんが増えて旅がまた楽しくなりそう。