Killing Heart

「変わらないまま、左手は未だに使ってません」

「そっか。気になることがあるから、僕も付いていくよ」

「‥御意」

夷餡は嫌な顔一つせず、立ち上がり僕に付いてきた。
監視、それが今の僕の任務なんだ‥



「うっ‥」

「阿修羅!?」

鞠弥さんが仕事に戻っている最中、阿修羅はいきなり起き上がった。
彼の表情に少し疲れを感じた。
一体、暗魅のダークネスの中で何をされたのだろう。
私は慌てて鞠弥さんを呼びに行った。

「阿修羅、大丈‥?」

「平気だ。色々とすまない、鞠弥」

戻ると阿修羅は着物を着こなし、腰に氷麟を差して立っていた。
鞠弥さんは大人しくしてろ、と阿修羅を抑えるが手を払った。
静まる空気、私はキっと鋭い眼差しをした彼が怖い。
体が震えるほどの殺気、恐ろしい。

「夜月ともう一度戦うつもりなのか?」

「‥当たり前だ。あんな喧嘩売られたら買うしかないだろう?」

鞠弥さんは迷いなく彼に尋ねる。
彼は鋭い眼差しから口元を緩ませニッと笑みをこぼした。
本気であんなことを言っているのだろうか。
じゃあな、と彼は手を振りながら部屋を出て行く。
すると、

「どこに行くんだい、鬼さん?」

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