Killing Heart

鞠弥さんに言われて場所を移した。
人気のないさっきの滝の近く。

カチャ、

「フフフ、僕の愛刀・桜華爛漫(オウカランマン)綺麗でしょ?」

「桜華爛漫?もしかして‥」

「そうだよ?鞠弥さんが造った中での最高傑作の刀・桜華爛漫、とても素直なんだよねぇ」

夷餡は微笑ましい表情で鞠弥さんに聞こえるように言った。
ビクッと鞠弥さんが怯えている。
私は阿修羅に聞かれたくないんだ、そう思った。
だが、阿修羅は話をスルーして、氷麟を夷餡に向けた。

「刀がどうかなんてどーでもいいんだよ」

「威勢が良いのは好きだよ?ねぇ、鬼さん」

カキン、
先行で夷餡が一歩踏み出して桜華爛漫を軸にして舞い上がった。
刀の名のように華麗で、ふんわりした感じ。
私は思わず見取れてしまった。
阿修羅の方は周りに冷気が漂っている。

「あいつ、桜華爛漫をどうして‥」

「鞠弥さんが自ら捨てたんでしょ?それを夷餡様が拾った。それだけだよ」

「草兎くん‥」

戻ってきてから草兎くんの様子がおかしい。
今までなら穏やかな口調が鋭くなっている。
夷餡のせい?それとも元々こうだったのか。
ふと、鞠弥さんを見ると拳を握り怒りを押さえているのが見えた。

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