Killing Heart

「凍りつく冷気よ、神の知らせを唄え。神の悲鳴!!」

パキン、
凍る音が大地に響き渡った。
私は何が起きたのか分からない。
ふと、つぶっていた瞳を開くと、辺り一面は真っ白だった。
夷餡の姿は見当たらない。

「ハァ、ハア‥」

「大丈夫?阿修‥」

私を抱きながら戦ったせいか、彼は下を向いて息を切らせていた。
前髪で顔が隠れていて、私はそっと頬に手を伸ばした。

「痣が‥!!」

「みず‥き、」

顔に触れるととても熱く、小さかった痣が顔全体を覆っていた。
阿修羅は苦しそうにしていて、ズルッと私に倒れ込んできた。
どうしよう、夷餡がまだ戦えたりしたら‥。
私は阿修羅を膝枕し、手を翳した。

「夕露ちゃん!?」

「私は貴方の生き様を見届けるんだから!!!」

私は手のひらに精一杯気を溜めた。
それでも太ももに感じる熱さは増すばかり。
神の悲鳴と何か関係があるのだろうか。
そんな中、私の目に入ったのは氷麟だった。

「いい気味だね、阿修羅。君はこんなに衰えて‥」

「夷餡!?」

「君も不幸だ、虹輝」

後ろから夷餡が私の首筋に刃を添えていた。
気付かなかった、桜の花びらが光に吸い込まれる。

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