Killing Heart
私はお師匠に言われて慌てて、部屋を出た。
なんか最初の雰囲気と違う気がした。
急いでお茶と茶菓子を両手に客間に戻った。
「お帰りなさい、夕露。ご苦労様でした」
お師匠の笑顔がなんとも言えない。
輝いていて、逆にドキッとしてしまう。
私は慌ててお辞儀をして、お師匠の後ろに座った。
私が居なかった間に話の内容は変わっていた。
今までのこと、どんな生活をしたか、全て日常生活について。
だが、鬼の方がいきなり内容を変えた。
「例のアレ、返して欲しいんだけど?」
「氷麟ですか?‥そうですね、お返し致しましょう」
と、言ってお師匠と鬼は立ち上がり、客間を出て行った。
私もお師匠に付いてきなさい、と言われて不安を抱えながら歩いた。
少し寺内を歩くと、倉に着いた。
確かここは、お師匠の大事な所。
弟子の私でさえ、入ったことがない。
「さぁ、貴方の大事な氷麟が眠っていますよ」
ギィィ、
「りゅ、龍!?」
「馬鹿じゃねーの、あれは麒麟だ」
「ば、馬鹿!?」
私は初めてみた氷の麒麟に唖然とした。
見た目は龍のように神々しく、何もかも飲み込むような殺気を放っていた。
中央には一本の長刀がぶら下がっていた。