Killing Heart
「相変わらず激しく殺気漂わせてやがるな、氷麟」
チャリっ、
鬼は氷麟の柄を握り、刀にまとわりつく鎖を弾いた。
あんな恐ろしいものを素手で握るなんて。
ふと、お師匠の方に目を向けると、
いつも笑っている方が今は真剣に眼差しを光らしていた。
「鷹史、一発どうか?」
「その必要はないようですよ、ね?」
お師匠はニコッといつものように笑顔で告げた。
慌てて鬼が倉の扉を開けると、そこには沢山の忍びが居た。
お師匠によると、氷麟の殺気で近付いてきたと言われた。
そっとお師匠は私を優しく抱き締めてきた。
いきなりのことで思わず恥ずかしくなったが、一体今から何が起きるのだろうか?
「あんまり目立たないで下さいよ?」
「ったく、鷹史は馬鹿女を頼むぜ?」
そう言って彼はにっと笑った。
まるで本物の鬼、争いを楽しんでいる。
だけど、私のことを気にしているなんて、少しだけ嬉しかった。
鬼はぐいっと柄を強く握りしめ、忍びたちに向かって突っ込んだ。
素早く振る、一回の太刀が風のように流れる。
速い、私は目で追っかけるのに必死だった。
唯一、しっかり見えるのは氷麟から漂う冷気だった。