サモンズ
澪は少しビクンと震えたが、気丈に振舞って
「やれるもんならやってみなさいよ。」
「舐めやがって!!覚悟しやがれ!!」
男は左腕を前に突き出し、呪文を唱え始めた。どうやら蓮と同じ魔法使いの系統のようだ。みるみるうちに力が集結しているのが見えた。
「死にやがれぇ!!!驚意の爆発(ビルス)!!」
呪文を唱えたとたん、集結していた力が解き放たれた。
「…ッ!!」
澪は動けなく身を縮めて怖がっている。刃は当たり前だと思った。男の刃や蓮だって身をすくめたくなるほど恐ろしいのだ。なのに男はなんのためらいも無しに澪に向かって魔法を解き放った。
「っざけんじゃねぇ!!」
刃は無意識のうちに走っていた。だが、どう考えても間に合わない。自分が助けに入る前に澪は吹っ飛ばされてしまうだろう。
(そんなことあっちゃいけねぇ…)
そして刃は思いだした。澪は自分の事を能力者だと言った。ならば今がその能力を使う時だろうと思った。そして刃は叫んだ。
「うぉぉーー!!!」
あるかどうかも分からない力を信じて、叫んで力を込めた。刃の体からまばゆい光が出たのを蓮だけが冷静に見ていた。そして、刃の目の前に魔法陣が現れた。複雑に書かれたその紋様は見た事の無いものだった。そして、その魔法陣の中から1つの影が現れた。それはキレイな白い羽をもった「天使」であった。
「私は天使第1階級ロリアル。主の思いに答え参上した。」
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