サモンズ
「ここが連れてきたかった場所よ。」
そこには見た感じ「研究所」のようなものが建っていた。
確かに研究所なのだが、異様な空気が漂っている。
「澪さん。ここは研究所か何かですか?」
そう蓮が尋ねると、澪は答えず、ついて来て、とだけ告げてすたすたと歩いて行ってしまう。
「そういやぁ、ロアリルだっけか。さっきは助けてくれてありがとな」
「いえ、主の命に従ったまでです。ひとつ伺ってもいいでしょうか?」
「あぁいいぜ。なんだ?」
「主の名前を教えては頂けませんか?」
そう言われると刃は、忘れてた!、とあせって名乗った。
「俺は高坂刃だ。お前はロアリルだったよな。」
「こうさかやいば…」
そう、何度も何度もつぶやいた。なにか引っかかるかのように何度も何度も。
研究所の中に入って5分もしないうちに大きな空間にでた。
「ほぅ澪か、連れて来たんだな。あの街の能力者を。」
「おじいちゃん連れて来たよ。」
そこには杖をついたおじいさんがいた。どう見ても齢90は超えている。
「お前か!?街を攻撃して能力者を見つけていたのは!?」
「そうじゃよ。今回は何とも威勢が良い。」
「それならもうやめさせやがれ!!澪だって可哀想だし、街の人間だって可哀想だろ!?」
「ほぅほぅ。その点ならもう心配なしじゃ。ついにみつかったからのぅ。」
「じゃあおじいちゃん!?」
澪はみつかったと聞いて飛び跳ねそうなくらい喜んでいた。
「見つかった?なにが見つかったんだ?」
「僕もそれは気になるね。ここまでして見つけたかったってのはなんなんですか?」
蓮も気になるようだ。
「そなたらの事じゃよ。大いなる神の使徒様。」
『大いなる神の使徒!?』
蓮と刃は二人して大声を上げてしまった。
「んな訳ねぇーだろ!?」
「そうですよ!!僕らはそんな大それたものじゃありません。」
「いやいや。刃と申したな。そなたの召還した天使が何よりの証拠じゃ。それにその蓮と申す少年の魔力も証拠じゃな。」
そこで蓮は驚いた。
「おかしいよ。まだ僕たちは名乗ってもいないのに。それに僕の魔力量を見抜くなんていったい何者なんですかあなた。」
「ほぉっほぉっ。ただの粋がってるじじぃじゃよ。悪いがそなたらには世界を救ってもらうぞい。」
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