MY FIRST LOVER!!(短編)
『ちょっ…せっかくきたんだから久しぶりにあがっていきなよ…?』
孝之の腕に柔らかく触れて、私は孝之を引き止める。
「いいよ、別に。他に用ないし…」
『いいからいいから!』
私は笑って孝之を家の中へ入れた。
帰ってほしくなかった。
今の私は、透くんに傾いてしまいそうだから。
それがいつか孝之への歯痒いほどに届かない気持ちに対する“後悔”となってしまう気がする。
だから今孝之のそばにいないと、私は孝之の香りも何もかもを忘れてしまいそうで怖かった。
「あら、孝之くん久しぶりね。」
お母さんがリビングから出てきて孝之に言う。
「こんばんは。おばさん、いつも美味しいもんもらってばっかで…ありがとうございます。」
幼い頃と違って私には素っ気なくなった孝之が
お母さんにはまともに挨拶するのを見て悲しい反面ドキドキした。
『これ、もらったよ。』
私が孝之から渡された袋をお母さんに渡すと、お母さんは喜んでお礼を言った。