MY FIRST LOVER!!(短編)
私と孝之は小さい手で一生懸命、砂でお城を作っていた。
私が作りたいって言って、孝之が一緒に手伝ってくれたんだ。
『わあ〜すごーい。できたできた〜』
不恰好だけど、大きいお城ができた。
大人からしてみれば単なる山。
幼かった私には、本当に素敵なお城に見えた。
『あずね、大きくなったらこんなお城に孝之くんと住みたい。』
私が孝之にそう言うと
「じゃあ俺が住ませてあげるよ。」
手を泥んこにしたまましゃがんでそう答えた。
『ほんとー?』
「うん。一緒に住もうね。」
その次の日、砂場に行くと昨日作ったお城は誰かによって壊されていて
跡もなく砂場になじんでいた。
私は、孝之と一生懸命作ったお城がなくなっちゃったことに大泣きしたっけ。
呆れてなだめるお母さんの隣で、私を見ていた孝之は言ったんだ。
「俺が本物のお城に住ませてあげるって言っただろ?だから泣くなよ、あずちゃん。」