MY FIRST LOVER!!(短編)
いじわるっぽい口調で孝之が言う。
『したけど…あれは…不意討ちだったんだもん…。』
「…ファーストキス…?」
『うん…昨日…奪われた。』
私が笑ってそう言うと孝之も困った顔で笑う。
『でもさ…孝之だって私のこと言えないじゃん…キスどころか色んな女の子とさ……』
拗ねる私の頬に孝之の大きな手が触れる。
「ごめん…そうだな…。俺……恋愛ってどんなのかよく分かってなくて…。
ただ言えるのは…あずは本気で好きなたった一人の女だよ。」
ずっと
そんな夢みたいな言葉を待ってた。
孝之の心は離れてなんかいなかったんだね。
不安だった気持ちや
今までのたくさんの嫉妬も
スーッと消えていく。
『私だって……孝之だけだよ…ずっと。』
だから、透くんとはキスしちゃったけど私の中では孝之がファーストキスのつもりだよ。
私は愛しくて愛しくて、ただ孝之を見つめた。