お兄ちゃん、すきだよ。
「お母さん、どうしよう。私こんなお店初めてだから…。」
「大丈夫よ、普通にしていれば。きっとおいしい料理が出てくるわよ。」
「でもお母さん…なんかフォークとナイフがいっぱいあるんだけど…。」
「ふふふ、やだ春乃。」
緊張しすぎて挙動不審になってしまう。
こんなレストランも、大人っぽいワンピースも、私の背中を真っ直ぐにさせる。
お母さんはずっと、私のことを笑っていた。
その時だった。
「お待たせしてしまってすみません。」
私は反射的に振りかえる。