お兄ちゃん、すきだよ。
本を開いたまま、静かに眠っている怜くん。
いつもは頼りになるお兄ちゃんだけど、いまの怜くんはまるで子供みたい。
私が顔をのぞきこんでも、少しも気が付かない。
疲れているのかな、見事に熟睡している。
「怜くーん…風邪ひいちゃうよぉ…。」
とても小さな声で、話しかけてみる。
小さな声とはいえ耳元でささやいているから、さすがに気が付くだろう。
しかし予想に反して怜くんはピクリとも動かない。
私はだんだん心配になってきてしまった。
「れ、怜くん…?生きてますかー…?」
その時だった。
うーん、と寝返りをうつように体をこちらに向ける怜くん。
そしてその右腕は、私の頭をぐっと抱き寄せた。