お兄ちゃん、すきだよ。
*第二章*
てがみ
あのキス事件からしばらくの間、私は怜くんのキスが忘れられなかった。
子猫を抱いている夢を見てて…
かわいくて抱き締めたりしてて…
そうしたら俺、寝呆けてて…
怜くんはそういって謝り続けた。
いいよ、気にしていないから。
そう言いながら、私はずっと気にしていた。
だって怜くん、キスする前に「春乃」って、名前を呼んだよ。
本当に、子猫の夢だったの?
子猫にあんなキス、しないよ。
それに、なにより私…。
何故か全然嫌じゃなかった…。
あのキスはお互いになかったことにする。
それがふたりで決めたことだ。
だけど私は、私だけは、未だに唇の感触が消えない。