お兄ちゃん、すきだよ。



「春乃、帰ろ〜!」


「たい焼き食って帰ろうぜ!」




優と颯太が、帰り支度をする私のもとへ走り寄ってくる。



元気のない私を気遣ってか、ふたりはとても明るく笑っている。



そんなふたりの笑顔を見ていたら、だんだん心がすっきりと、晴れてきた気がする。




「いいねぇ、たい焼き!寒いからきっとおいしいね。」




3人でよく行く商店街のたい焼き屋さん。


温かいたい焼きで、心も体もポカポカさせよう。


不安なことは、とりあえず忘れてしまおう。




「俺今日は抹茶あんにしよ〜っと!」



カバンを持って走りだす颯太。



「じゃーあたしは紫いもあん!」


「ちょっと待ってよ〜!ふたりとも〜!」




優と私も、笑いながら後を追った。



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