お兄ちゃん、すきだよ。
「違うんです!お母さんたちが出掛けるから、ただ一緒に家でご飯食べる約束しただけで…!別にいつも通りです。」
小波さんの迫力に負け、私は怜くんとの約束を素直に答えた。
そして、自分で言った言葉にみじめになった。
イブだからって特別なことはない。
ただ、いつも通り過ごすだけ。
それだけのこと…。
「ふぅ〜ん。」
口を尖らせてそう言うと、小波さんは私を見つめた。
「兄妹だもんね!そりゃそうだよね〜!」
胸に刺さる、小波さんの兄妹という言葉。
兄と妹だから、クリスマスイブを一緒に過ごしたって何も心配ない。
そう言われたような気がした。
その通り。
なのにチクチクと痛む、私の胸。