お兄ちゃん、すきだよ。
ジリリリリリ!!
うるさい目覚まし時計の音で、目を覚ます。
窓の外はもうとっくに日が上っていて、とてもいい天気だ。
夢…
夏彦兄ちゃんの夢を見たのは、久しぶりだ。
私は2年前に実の兄を亡くしている。
突然の交通事故だった。
当時15歳になったばかりだった私は兄の死を受け入れられず、ただただ恋しがって泣いていた。
私たちはとても仲の良い兄妹だった。
5つ上の兄は昔からとても優しく、いつも私を可愛がってくれた。
大きくなってからも仲が良いのは変わらず、よくふたりで出かけたりもしていた。
私はそんな兄が大好きで、仕方がなかった。