お兄ちゃん、すきだよ。
普段、家ではとても優しくて、私を大切にしてくれる怜くん。
私のお兄ちゃん。
だけどいまここにいる怜くんは、少し遠く感じる。
私の知らない怜くんを目の当たりにして、私は少し寂しくなった。
ただ立ち尽くしている私を、後ろからきた男女ふたり組が追い抜いた。
「怜一朗!小波!ごめんな待たして!」
「もう翼が超優柔不断でさぁ。」
男女ふたり組は、怜くんたちのいる席へついた。
「遅すぎだろ、お前らー。」
なんだ、友達みんなで来てたのか。
ホッと胸をなでおろす。