お兄ちゃん、すきだよ。
え…?
一瞬、何が起きているのか理解が出来なかった。
「颯…太?」
「春乃は俺といつも一緒にいてさ、なのに少しでも近づこうとすると、すぐ逃げちゃうんだもんな。」
私を抱き締めるその2本の腕は、確かに颯太のものだった。
優もいるのに、だめだよこんなこと。
しかし颯太の温かい腕に包まれて、私は何も言えなかった。
「なぁ、いいだろ春乃。今だけ…少しだけ…、抱かせといてくれよ。頼むからさ。」
颯太の切なそうな声を聞きながら、私は黙って目を閉じた。
颯太の腕、あったかい。
昔から変わらない、颯太のあたたかさ。