お兄ちゃん、すきだよ。
「ふざけてなんかねぇよ!」
颯太が怒鳴った。
なに、この重い空気。
どうしよう…。
慌てる私の足元に、ポタッと一粒、水がこぼれた。
「優…?え、泣いてる!?」
「違…ごめん、春乃のカバン…教室も汚して…。」
「優どうしたの!?カバンなんて全然平気だよ!?」
優が泣くのなんて、小学校以来だ。
私はあまりの出来事に、慌てふためいて優の頭をなでることしか出来なかった。
「とりあえず、ぞうきん持ってくるからね!大丈夫だから泣き止んで!」
私は教室に優と颯太を残し、事務室へとぞうきんを借りに走った。