お兄ちゃん、すきだよ。
「ごめんね、泣いたりして。」
「いや、俺こそ悪い。驚いたよな。」
微かではあるが、ふたりの会話が聞き取れる。
最初は颯太が優を慰めているのかと思ったが、どうも違うようだ。
いけないとわかっていながらも、つい聞き耳を立ててしまう。
「颯太が春乃を好きなの…ずっとわかってたから…私…。
けどあんなの見たら無理だった…あたし我慢できなかったよ…。」
え…?
優、何を言ってるんだろう?
途切れ途切れでうまく聞き取れないが、明らかに優の様子が変だ。
「春乃も颯太も大切な親友だから…だけどもう…。
私これ以上は…。颯太…ごめん…!」
なに?
なに?
全く理解できない!
私はたまらず、教室の扉を勢いよく開けた。