お兄ちゃん、すきだよ。
「颯太ぁ…!」
目の前には、泣きながら颯太に抱きつく、優。
そして、ふたりの唇は、そっと重なった。
優?颯太?
ねぇ、何をしているの?
私は持っていたバケツを床に落とした。
「あ…、春乃…!」
こちらに気付いた優は、颯太から離れて、私のところへ寄ってきた。
「春乃、違うの!ごめ…」
「や…!」
優が差し出してきた手を、つい払ってしまった。
あっ、どうしよう…。
私はわけがわからないまま、自分のカバンを持って教室を飛び出した。
「待て春乃!俺は…!」
教室を出て行くとき、颯太が何か言った気がした。
しかし私は耳を傾けることなく、学校の外へと走った。