Devil's Night
 
 ”ヒートアイランド”、そんな単語を何度も彷彿とさせる暑い午後。


 いつものように、私の前を通りすぎた彼がふと立ち止まった。


「あ――……。俺、仕事かなり残ってるし、今日は事務所で食べることにするわ」


 グループの中の女の子たちが、「えー?」と不満そうな声を上げる。


――やっぱりモテるんだ……。


私は、嬉しいというよりも、手が届かない相手だということをはっきりと認識させられたような気がして失望した。

< 104 / 359 >

この作品をシェア

pagetop