Devil's Night
 
 つり銭を入れている缶の中に、10円玉が見当たらない。焦りながら、じゃらじゃらと指先で小銭をかき回す。


――ない……。


「いいよ、おつりなかったら」


 彼はそのまま立ち去ろうとした。


「ま、待っててください!」


 私はそう呼び止めて、道の向こうにある自販機に走った。そして、自分の財布から200円を出して缶コーヒーを1本買い、急いでつり銭を作る。
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