Devil's Night
 
「はい。380円のお返しです。ありがとうございました」


 深く頭を下げてから顔を上げると、その人は少し驚いたような顔をしている。


「いいの? それって、きみのお金でしょ?」


「いいです」


 喉は乾いてなかった。でも、きちんとしたかった。特にこの人には……。


 彼はにっこりと笑った。


「ありがとう」


 清潔感のある優しい表情に見とれた。
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