Devil's Night
 
「ストーカーみたいなこと言わないで」


 カイの話を冗談にして笑い飛ばしたかったが、カイはその頃を懐かしむような目をしている。


「僕はストーカーじゃなくて、守護神だよ。何度も美月を救ったろ?」


 確かに、カイが姿を見せなくなってから、不思議なことが何度も起きた。


 中学生のとき、執拗に私を苛めた男子が交通事故に巻きこまれて大ケガをし、1年近く休学した。あの時、生まれて初めて、他人の不幸にホッとしたのを覚えている。


 それから高校生のときは、大学への推薦と引き換えに交際を迫ってきた男性教師が、突然、校舎の屋上から飛び下りた。


「本当に  ?」


――カイの仕業なのだろうか。
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